『大岡昇平全集 10 』

大岡昇平全集  10 『大岡昇平全集 10 』(筑摩書房)、読了。

「レイテ戦記」下などの巻。

 もしそうなら、生き残ったわれわれのすることは何か。アメリカ人を一人でも多く殺して、彼等の志を継ぎ、仇を打ってやることである。( 342 頁)

レイテ島の戦場跡に立ったとき、生き残った兵士としての大岡昇平はこう思う。まちがいなく「反戦」的な作家であった大岡昇平がだ。この言葉は、兵士として戦場に出るという体験がどれほど特殊なものであるかということを考えさせてくれる。もちろん、それが特殊であろうことを考えるというだけで、その特殊さを知ることはおろか想像することも私にはできないのだけれども。

  (…) もうだれも戦争なんてやる気はないだろう、同じことをやらないだろう、と思っていたが、これは甘い考えだった。戦後二五年、おれたちを戦争に駆り出した奴と、同じひと握りの悪党共は、まだおれたちの上にいて、うそやペテンで同じことをおれたちの子供にやらせようとしている。( 426 頁)

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