『クルマはかくして作られる 4 レクサス LFA の設計と生産』 福野礼一郎

クルマはかくして作られる 4  レクサス LFA の設計と生産『クルマはかくして作られる 4 レクサス LFA の設計と生産』福野礼一郎(カーグラフィック)、読了。

豊富な写真でそれぞれをパーツのとんでもない質感を感じては濡れ濡れになり、 LFA という車に一貫されている開発陣の設計思想に唸らされ、そしてそれぞれの部品製作の現場の技術力と情熱にため息をつく。本当に素晴らしい本で、恐ろしい車だ。各工場の生産現場の方々も、めちゃくちゃかっこいい。

「 LFA のトルクチューブは、バナジウム鋼の丸棒をそっくり機械加工でくり抜いて、 1 本 1 本手作りしている」(…)( 162 頁)

というような一文だけで誰でもしびれてしまうとは思う。こんな情熱がすべてのパーツの設計・生産・品質管理につぎ込まれているのだ。

しかも、匠技の手作り的なところだけが LFA の魅力なのではない。このピュアスポーツなスーパーカーに注ぎ込まれた先端技術のいくつかは、いつか一般的な市販車にまで降りてくるんじゃないかというような、そんな期待を抱かせてくれるのだ。

たとえば、ウルトラモダンなシートに採用された「セルフセンタリング」という革新的な理論は、 10 年後にはトヨタ製スポーツカーのシートのクッションに採用されているかもしれない。 700 系以降の新幹線のアルミ車体に使われているという「ダブルスキン構造」と呼ばれる技術を使って作られた LFA の衝撃収集部材だって、その構造が 10 年後のレクサス車に採用されている可能性はある。アッシー重量 2250g という、世界に類例のない超軽量ヘッドランプを実現した設計と生産の技術のいくつかは、もうすでに一般的なヘッドランプの生産に活用されていっているのではないだろうか。この本を読んでいると、そんな期待がつぎつぎに湧いてくる。まさに夢の車だ。こんなものが世の中に存在するという事実だけでうれしくなってしまう。

1972 年にタカタの高田武三社長が考案しその後もタカタの社内で途切れることなく継続したというエアベルトの研究・開発がエアバッグ内蔵式シートベルトとして LFA でついに実現したというエピソードなんて、鳥肌ものだった。

こういう本を読んでしまうと、 LFA はあの車やこの車より素晴らしいだとかそういうことを、逆に簡単には言えなくなる。しかしでも、やっぱり素晴らしい情熱で、素晴らしい本で、素晴らしい車だ。元気が出る。

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