『小 3 までに育てたい算数脳』高濱 正伸(健康ジャーナル社)、読了。
著者によると、「図形力」「空間認識力」などは小学校 3 年生くらいまでに完成してしまい、それまでに身に付けていないと以後いくら努力しても獲得できないものだという。そして、それらの力を持つ子と持たない子の間には、発想を問われるような問題において(さらに、発想を問われるような人生の場面において)絶対的で逆転不可能な溝があるのだという。
では、どうすればそれらの力が身につくのか ? という問いがとうぜん発生するわけだが、著者は「外遊び」を最も推奨する。
空間認識で大事なのは、空間を空間そのものとして頭の中で再構成できる能力です。映画の「マトリックス」ではありませんが、立体的なモノを、自由自在に頭の中でくるくる回して、「ああ、こっちから見るとこう見えるのか」と、そういうことが、できる子はできます。これは、外遊びを筆頭とした体験でしか絶対に伸ばせない力です。( 204 頁)
上記引用以外にも頻出する自然賛美。しかし、自然が豊富な時代(あるいは地域)の生徒とそうでない時代(あるいは地域)の生徒の数学力の比較というような実証的なデータはひとつも示されない。すべてが塾講師という立場における経験からくるイメージを語ることに終止している。
だが、そもそも引用したような能力は遠近法なしにはありえないし、その遠近法はけっして「自然」なものではない。「制度」だ。著者のいう「自然」のような安易なイメージを語らず使用しないというところに学校教師に対して塾の講師が圧倒的に勝っている点があったはずなのだけれど、なぜかこの著者はそれを捨ててしまっている。
ビール 1 リットルといいちこの湯割り 4 杯。