現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ? ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」』 矢口新

現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ?  ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ? ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」矢口新(パンローリング)、読了。

『生き残りのディーリング』を初心者向けにして、ファンダメンタル面の解説を付け加えたといった内容の本だ。『生き残り…』を読んでいない初心者にはいいかもしれない。

『競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法』 ジェフリー・マー

競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法『競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法ジェフリー・マー 著 須川綾子 訳(河出書房新社)、読了。

プロのギャンブラーとしての経験と統計学の知識とから導きだされる貴重な教えを伝えてくれる。というような本だと期待して読んだが、ぶれっぶれの内容だった。どんな読者にどう読んで欲しいのか、まったく定まっていない凡庸な本だ。

仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで FX  プロの定石』川合美智子

仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで  FX  プロの定石仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで FX  プロの定石』川合美智子(河出書房新社)、読了。

ごくごく当たり前のことが書いてある。個人的には参考になるところはほとんどなかったけれども、悪い本ではない。初心者は日足のこういうトレードを 1000 通貨でやれば、変なトレードをする癖をつけなくていいだろうと思う。

ウィザードブックシリーズ 200 FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門』 ボブ・ボルマン

ウィザードブックシリーズ 200   FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門ウィザードブックシリーズ 200 FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門ボブ・ボルマン 著 長尾慎太郎 監修 井田京子 訳(パンローリング)、読了。

びっくりした。今まで読んだ FX 関係の本のなかで抜けて最高の本だ。この著者はまちがいなく「やっていて」「勝っている」。しかも、トレードに対する考え方が私に共通するものがあって、とてつもなく参考になった。

ティックチャートを使ったスキャルピングで、テクニカル指標は 20EMA を表示させるだけ。トレンドラインすら使わない、かなりシンプルなスタイルだ。私はトレンドラインとボリンジャーバンドを使うが、オシレーター蔑視で値動き重視という点では共通している。

エントリーパターンとしては、プルバックからのトレンド復帰狙いの仕掛けが 3 つとレンジブレイクでの仕掛けが 4 つ紹介されていて、これも逆張りをやらない私のエントリーパターンと共通している。それぞれのパターンで多くチャートを載せて、プライスアクションの読み取り方をかなり詳細に解説してくれている。これがめちゃくちゃに勉強になる。

敗者の投げ・踏みを利用しようという考え方だとか、抜け・割れの試しを重視するところだとか、参加者の心理面を考慮した上でのプライスアクションに対する考えも共通していて、とうぜん私よりレベルが高いので、感動すらしながら読み進んだ。読み終わってからひと月ほど経つが、私はこの本のおかげでエントリーの精度が上がって勝率が向上した。大切なのはプライスアクションに対する考え方なので、 5 分足でも 1 時間足でも、ちゃんと応用できる。

ただ、凝り固まって「著者と同じチャート環境にするには」とか「なんとか線が出たからなんとかセットアップの定義がうんたら」とか、表面的なことにこだわる頭の弱い人にはかえって害になるかもしれない。

よくこんな本を出版する気になったなと思う宝石のような本だ。

『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 上』 ダニエル・カーネマン

ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ?  上『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 上』ダニエル・カーネマン 著 村井章子 訳(早川書房)、読了。

人間の直感がどれほどヒューリスティクス(近道の解決法)に頼っていて、その結果として人間の判断にどれほどのバイアス(系統的エラー)がかかっているかということを、豊富な研究例をあげて教えてくれる。詐欺師には必読の本だろう。

もちろん、どんな職業の人が読んでも、それぞれの人なりに有用なところがある本だと思う。利益を出しているトレーダーが読めば、さらにトレードを良くしていくヒントをいろいろと発見できるはずだ。負けているトレーダーにはちょっと早いかもしれない。

 専門家の判断が劣るもう一つの理由は、複雑な情報をとりまとめて判断しようとすると、人間は救いようもなく一貫性を欠くことである。 (…) ( 325 頁)

ウィザードブックシリーズ 162 FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶ』 ロブ・ブッカー

ウィザードブックシリーズ 162   FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶウィザードブックシリーズ 162 FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶロブ・ブッカー 著 ブラッドリー・フリード 監修 スペンサー倫亜 訳(パンローリング)、読了。

著者が善意を持って書いているのは分かる。だが、ただそれだけの本だ。

セットアップとトリガー

ここのところ、気が向いたときにエントリーポイントの画像を twitter に tweet していた。こういう感じ。

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画像を見ればわかるように、安値切り上げライン(トレンドラインではない)割れで売りで入っているだけだ。ただし、これらのラインはあくまでもトリガーでしかない。機能しているように見えるのは、機能する可能性が高いところでだけ使っているからだ。どんな場所ででもこんなラインを引いてエントリーしていれば、トータルでは負けるだろう。

1 枚目の画像を、もうすこし大きな視点で見るとこうなる。

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400pips ほどの大下落の後に戻しに入ってレンジを切り上げ。しかし、その切り上げたレンジが底抜けて下落。この状況で価格が上げてきているのだから、戻しと判断して売るタイミングを待つのは相場の常識だ。斜めに引いたラインは売るタイミングを計るためのものでしかない。これを使うなとダイモニオンに言われたなら、ローソク足とかボリンジャー・バンドとかででも私は勝っていける。成績は落ちるだろうけれど。

あとの 2 枚の画像も私なりの根拠のある場面でのエントリーだ。トリガーにばかりこだわっていては勝てない。大切なのは状況の判断だ。前にも書いたが、買いだけを考えて見ていくべき場面や売りだけを考えて見ていくべき場面というのがあって、そこだけで勝負していればそんなにひどいことにはならないし、往復ビンタを喰らうこともない。もちろん、さっきの画像のような場面で上にぶち抜かれることもあるが、そんときはロスカットすればいい。

とにかく、トリガーなんてのは悩むことなく引鉄が引けて、悩むことなく損切りができるものならなんでもいい。大切なのは狙いがなにか、きちんと知っておくことだ。

最後に、画像は載せなかったけれども、大切な場面とつぶやいた昨日の AUDUSD のチャート。これも同じだ。 1 時間足だから 5 分足より信頼できるし、だいたいは基本どおりに動いている。レンジ判断ができていれば、安いように見えて実は高いところ・下に支持の少ないところで売っているのもわかるだろうが、それは慣れてからでもいい。とにかく、まずは引鉄を引ける状況かどうかを判断すること、そのための基準づくりが大切だ。

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トレード・ノートのつけかた

トレード・ノートを書くときは、予測だけで終わらせないことが大切だ。自分が取るべき行動を「必ず」書かないといけない。それも、可能なかぎり具体的に。

「高・安切り上げで上昇トレンド。ただし、レンジ上限が近い。押すか ? 」

これでは駄目だ。どこで押しを待つのか、押してくるところにカウンターを入れるのか、それとも反発を確認してから買うのか、何もわからない。後でふりかえるときに、どうとでも取れてしまう。

「小さな揉みあい。トレンドなし。動き出しを待つ。」

これも駄目。明確さが足りない。「上 95.365 と下 95.210 でのレンジ。それまでが下降トレンドなので、上抜けは見送り。下も抜けでは入らない。戻りを試してから売る。 95.230 にアラームをセットして待機。」といったふうに「今」やるべきことを時刻といっしょに左ページに書いておくのだ。そして、その行動の結果どうなったかを、後でかならず右ページに書く。

こういうことをていねいにやっていると、実戦的な判断ができるようになってくる。相場で儲けるためには、予測を当てることより、自分がやるべきことを判断し実行することのほうがはるかに大切だ。自分が入るべき場所で入って駄目なら切る。運がよければ利益をもらえばそれでいい。「上だと思ってたんだよ」なんて言ってても、一銭も入ってこない。

あと、心が悲鳴を上げてるようなときも、その感情と状況を書いておくといい。

「このサポ、ぜってー割るだろ。売りてえ。でもルールにないから我慢。」とか、「ここは押し目を買わないといけない場面。でも、怖くて買えねえ。」とか、「なんとかマイナスを挽回したい。でも今はトレンドが発生していない。でも入ってやる。」とか。こうやって書いておくと、なんとかルールを守った自分をほめたり、ルールを破った結果を知ったりできる。なにより、自分がどんな場面でルールを破る誘惑にかられるのかを知ることができる。

相場は自然に流れていくもの。それに自分がどう寄り添っていくか。自分を良くしていかないといけない。ちゃんと手順を踏んで努力すれば、それはそんなに難しいことではない。ただし、ちゃんと手順を踏むことはむずかしい。

『なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史』 ダニエル・アクスト

なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史『なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史ダニエル・アクスト 著 吉田利子 訳( NTT 出版)、読了。

古代ギリシャから最先端の研究まで、副題どおり「自己コントロールの文化史」について紹介している。時代が進むにつれ自己コントロールにおける「責任」というものが疑問視されてくるのだが、著者がニヒリズムに陥らずに当人の責任にこだわっているのはいい。

(…) 大事なのは、自分で決定しているという信念を失うのはとても危険だし、実際的でもないということだ。 (…) ( 219 頁)

意志の力はエネルギーだ。使えば減る。鍛えれば総量は増えていくが、とにかくその時点での限界はある。だから節約して使っていかなくてはならない。トレードで勝てるようになった人は、次の引用の意味が腑に落ちるにちがいない。

(…) アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは言う。「考えなくても遂行できる操作をどんどん広げることによって文明は進歩してきた。思考という操作は、騎兵隊の戦闘のようなものだ。騎兵は数が厳しく制限されているし、元気な馬を必要とするから、決定的な瞬間にだけ出動しなくてはいけない」。( 358 頁)

『 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~』 アンディ

 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~『 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~アンディ(パンローリング)、読了せず。

あまりにバカバカしくて、途中からは流し読みになってしまった。親しい人間が読もうとしていたら、絶対にとめる。

勝率は 50% でいいと著者はいうのだが、この 50% という確率を本当に受け入れているとは思えない。

 本書で何度も述べているように、半値トレードは勝率 50% の境界線を狙う手法です。ということは、噛み合わなければ、うまくいかない可能性も半分は残っているということです。そうならないために (…) ( 198 頁)

勝率 50% の手法で失敗トレードの可能性が半分なのは当たり前だ。それなのに、「そうならないために」とは何なのか。これではけっきょく、もっと高い勝率をもとめているということだ。根本的なところで矛盾している。そもそも、損益比に言及せずに勝率を語っても、トレードでは意味がないだろう。

聖杯探し

なにか失敗をしたとき、自分の知識が足りなかったからだと考えると、向上しない。

昨日今日相場をはじめたというのならともかく、そこそこ勉強してきていれば、利益を出せる程度の知識はついている。問題はその知識の使いかたのほうだ。何かを知らなかったから失敗したのではなくて、知っていることをきちんと使えなかったから失敗したのだ。

もちろん、自分が相場のことをまだ何も知らないという謙虚さは大切だし、忘れないように自戒している。しかし、持っている道具を自分が使いこなせていないという謙虚さも大切だ。

いろんな調理器具をそろえるより、一本の包丁をていねいに使っていくほうが上達が早い。

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USDJPY と AUDUSD の日足チャートだ。手法しだいでどう取り引きしてもいいと思うけれど、むずかしく考えなくていい場面というのは必ずある。たとえ結果が損失に終わっても、そういう場面でだけやるべきだ。

単純に

次に自分がどう行動すべきか、それを考えている状況でトレードしていても上手くいかない。極端な例をあげると、売るか買うか迷うという場面がそうだ。そんなことで悩んでからエントリーしていたのでは、そりゃ負ける。

そもそも、次の行動を迷うという時点でまちがっているのだ。買いだけを考える場面と売りだけを考える場面というのがある。そこでだけトレードすること。上昇トレンドが発生している場合は、トレンドフォロワーなら押しを待つ以外に選択肢はない。

さらに、その押しの最中でも、どこで買うかいつ買うか迷っていてはだめだ。どういう状況になったら買うか、あらかじめ決めておかないといけない。このポイントで反発して陽線を引いたら買うだとか、条件は人それぞれだろうが、なんらかの条件を自分で検証して決めておくのだ。これなら、条件を満たしたかそうでないか、判断が単純ですむ。

このあいだ紹介した『しまった ! 』という本を読んでもわかるように、人間の認識能力にはムラがありすぎる。全体を一気に把握しようとしても、複雑すぎて安定しない。その上、人間は自己過信する生きものなので、自分の認識が安定していないことにすら気づかないのだ。

問題を単純なものにしていかなくてはいけない。判断の余地をどんどん狭めていくのだ。上達しない人はそこをかんちがいして、複雑な思考ができることが上達だと考えてしまう。

欠点をなくす

トレードで上達していくというのは、欠点をなくしていく作業だ。自分の取り引きをふりかえって、損失の原因があればそれを取りのぞいていけばいい。それで収支は改善していく。

ただし、欠点への対策というのは、必ずデメリットも持っている。たとえば、ブレイク跳びつきでやられることが多いというのでブレイク後の押し・戻りを待つという対策をとった場合は、置いていかれることも多いだろう。しかし、それは受け入れないとしょうがない。その対策でプロフィット・ファクターがすこしでも改善されたなら、それは成功なのだ。あとは、その対策が身に付くまで継続して、それから他の欠点を消していけばいい。身に付くまでには、その改善策もさらに改善されているだろう。改善というのはこの繰り返しだ。階段を昇るように、積木を積むように。

それを、デメリットのない完璧な対策なんてものをいきなり手に入れようとするから泥沼に入ることになる。一歩ずつ進むのが、けっきょくは近道だ。

『しまった ! 「失敗の心理」を科学する』 ジョゼフ・ T ・ハリナン

しまった !  「失敗の心理」を科学する『しまった ! 「失敗の心理」を科学する』ジョゼフ・ T ・ハリナン 著 栗原百代 訳(講談社)、読了。

見落とし、自信過剰、タスク飽和。人間が犯す「まちがい」のパターンと原因が、さまざまな分野の研究報告をまじえながら紹介されている。

この本を読むと、自分はまちがう生きものなのだということがよくわかる。トレード技術について必死に勉強してるのに収益に結びついていないトレーダーは読むべきだ。この本をヒントにできるようなら、トレードを変えられるかもしれない。

馬券と相場 No. 002

いまにして思うと、馬券で生き残るために最も大切だった今井さんの教えは「単勝は 1 点に絞る」という教えと「単勝で 2 倍以下のオッズの馬券は買わない」という教えのふたつだったように思う。このふたつの教えを守ることによって、リスク / リワード比を悪化させることなく馬券に取り組むことができた。それに、購入金額の 95% 以上を単勝にすることによって、 1 頭の馬が勝つか負けるかという単純な形に賭けをもっていっていたことも良かったと思う。今から競馬をやろうかという方がもしいるとしたら、オッズ 4 倍以上の単勝 1 点買い戦略をおすすめする。もちろん、 4 倍以下の馬が勝ちそうだと思えたら、そのレースは見送るという条件で。

相場でも、リスク / リワード比を適正にするためのルール作りが絶対に必要だ。これはどんなトレード本にも書いてある当たり前の話なのだが、ほんとに大切なのだ。負けている人はこの当たり前のことが実行できていない。私もそうだった。日経 225 先物のトレードに慣れはじめた頃と、日経 225 先物のボラの低下で FX に移った頃。とにかく上手くやろうとしすぎていた。

馬券と相場 No. 001

馬券と相場の違いや共通点について考えたことや感じていることを書いていってみる。

馬券は買ってしまえば結果が出るまでなにもできない。これは相場に対する馬券の最大の利点だ。締切までのオッズの変動はあるにせよ、とにかくリスク / リワード比を計画どおりに管理しやすい。

トレードの場合はどこででも手仕舞いできるだけに、プロスペクト理論のえじきになりがちだ。利食いが早くなったり損切りが遅れたり。チャート画面を前にして自分に対する対策をなにも練らずにやっていると、ほとんどの人間はそうなると思う。相場に対しての参加者の行動余地が大きすぎるからだ。

馬券のこのメリットを活かし相場のこのデメリットを減らすには、とにかく単純化していくことだと思う。

『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか』 ジョージ・エインズリー

誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのかジョージ・エインズリー 著 山形浩生 訳( NHK 出版)、読了。

なぜ人はダイエットという自分にとっての長期的な利益より、目先の食べ物を選んでしまうのか。ダイエットを決意した時点では、ケーキよりダイエットに価値を感じていたはずだ。それなのになぜ「今」はケーキの価値がダイエットの価値を上回ってしまうのか。

こうした疑問に本書は「双曲割引」という概念で答えている。時間的に近いものほど価値が大きく感じられるのだ。こういう人間の性質を知っておくことは、トレーダーにとって意味がある。意志の力だけではどうにもならないことについて認識し、対処することができるのだから。

坐骨神経痛

先週は坐骨神経痛が悪化して 4 日くらいほとんど寝たきりだった。じっと寝ていても痛いし、かといって、姿勢を変えようにも脚を 1 cm 動かしても激痛が走る。夜中にどうしようもなくなって、笑うしかないってことが何度かあった。それでも、家族と時間の助けでぼちぼちと平常運転にもどしつつある。

トレードも今週から再開してみたのだけれど、再開 2 日間はかなり好調だ。休んでいる間に布団でいろいろ考えたことが、今のところは上手くいっている。

もっとも大きく変えたことは、監視通貨ペアの数を倍以上に増やしたこと。もともと、日経 225 先物から為替に移ってから、まずは基本を身につけるために EURUSD だけに絞って 2 年ほどトレードをした。去年の年末あたりから AUDJPY と GBPJPY も手がけはじめて、今週からはさらに 7 通貨監視体制にしている。

これが予想以上にというか予想に反してというか、すごく楽だ。その日にテーマになっていそうなペアがあれば、その通貨だけに集中できる。脇役ペアの場合はヒゲやダマシで汚いチャートになりがちだけれど、テーマになってる通貨の場合はトレンド継続にしろ反転にしろ、わりあいはっきりしている場合が多くて、勝負しがいがある。

とはいえ、実弾こめてまだ 2 日目なんで、調子に乗ってそろそろ大負けしそうなリズムでもあります。よって今日明日は枚数を 1/3 に落とす予定。

しかしまあ、腰はほんとうに大事です。坐骨神経通は悪化するまで原因が腰だとはまったく気づかない場合があります。私がそうでした。だって腰じゃなくてケツやモモに異和感があるんだもの。皆さんはお気を付けを。

ウィザードブックシリーズ 159 ロジカルトレーダーオープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用』 マーク・ B ・フィッシャー

ウィザードブックシリーズ 159  ロジカルトレーダー オープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用ウィザードブックシリーズ 159 ロジカルトレーダーオープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用マーク・ B ・フィッシャー 著 長尾慎太郎 監修 井田京子 訳(パンローリング)、読了。

株価指数において、米国では日本でよりもトレンドを形成することが多い。これは日足でも日中足でもそうだ。とうぜん、トレンドが出やすい相場でのほうがブレイクアウト戦略は成功しやすいだろう。

そういう意味で、この本は読んですぐに日本市場に応用できる本だとは思わない。しかし、経験豊富なトレーダーからのアドバイスとしてなら読む価値のある本だ。

感覚よりも基準に従う

トレードの最中に素直にチャートを見てそれに従って行動することは、時にむずかしい。

たとえば、短期・中期・長期の移動平均線の並びと方向から自分の基準では押し目待ちという場面があったとする。短期の移動平均まで押して反転したので買いエントリ。しかし、その移動平均を割ってきたので手仕舞。レートは中期の移動平均に向けて下落している。さてここで、中期の観点でも押し目買いの線が崩れていないなら、次に取る行動は中期の押し目を付けるのを待つことだ。中期線まで押したが、買う形にならずにそこも割って下落。次はもちろん長期の移動平均への押しを待つ。

しかしここでスケベ根性が頭を持ち上げる。長期平均までの押しを売りで取れんかいな。自分の基準を無視した、愚かな判断だ。まったく愚かだ。きのうの俺。

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こんな場面でせこく 10pips 抜いても、その後のリズムを崩すだけだっちゅうの。今月初のマイナス収支日でした。

押し目を待っているのに、その押し目までを売りで取りに行こうとする。トレンドフォロワーとしては完全にまちがっていますね。まあ、時間軸の問題もあるんですが、やっぱりトレードはシンプルに考えないといかん。

今まで何人ものトレーダーを見てきたけど、継続して利益を上げている人はみんなシンプルに相場を見ている。私もシンプルに見ることを心掛けているけれど、たまに複雑に考えてしまう。

ごちゃつきはじめたら見ない。遊んどけ。シンプルに見ることができる場面でだけトレードすること。

ウィザードブックシリーズ 30 魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構え』 バン・ K ・タープ

ウィザードブックシリーズ 30  魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構えウィザードブックシリーズ 30 魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構えバン・ K ・タープ著 上野恵子 戸張義雄 萩原重夫訳(パンローリング)、読了。

『マーケットの魔術師』でのタープ博士へのインタビューを読んで、優秀なトレーダーをモデル化しそのモデルを模倣することによって平凡なトレーダーもパフォーマンスを高めることができるという理論に興味を持った。それでこの本を読んでみたのだが、私が求める心理・規律面についてはほとんど言及がなく、システム設計についての本だったので、かなり期待はずれだったことを覚えている。この邦題は詐欺的だ。

ウィザードブックシリーズ 160 タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 ――スーパートレーダーになるための自己改造計画』 バン・ K ・タープ

ウィザードブックシリーズ 160  タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 ――スーパートレーダーになるための自己改造計画ウィザードブックシリーズ 160 タープ博士のトレード学校 ポジションサイジング入門 ――スーパートレーダーになるための自己改造計画バン・ K ・タープ 著 長尾慎太郎 監修 山下恵美子 訳(パンローリング)、読了。

ポジションサイジングについては全体の 5 分の 1 くらいの分量でしかない。パンローリングの邦題を信じた私の間違いだった。何年か前にも、同じ著者の『魔術師たちの心理学』を買ったものの、届いてみたら「心理」についてよりもシステムについての記述のほうが多かったということがあったことを思い出した。

トレード初心者や損失つづきのトレーダーへの心がまえ入門といった内容の本で、自己改善・ビジネスプラン・トレードシステム・ポジションサイジング・その他という 5 部構成になっている。トレードシステムやポジションサイジングにかんしては、さわりだけといった程度の分量で、かなり薄い内容だ。あまり読む価値を感じない本だったが、次の文章には考えさせられるものがあった。

■その株は高値を更新したばかりだ。高値を更新したばかりの株を買うわけがないじゃないか。
(…)
 これらはすべて信念だ。しかし、これらの信念のいずれかを信じているあなたが、どうしてトレンドフォロワーになれるだろうか。( 148 頁)

このような信念というのはトレードを左右する力がある。こういうのを変えるのはかなり大変なので、その信念にあったトレードスタイルを考えるほうが成功には近いと思う。ただ、トレーダーとしては致命的な信念というのもある。そんなものを持ってしまっているトレーダー志望者は、なんとかして変えるしかない。そういうときに頼るべきなのは、自分自身の売買譜と検証作業だ。これは経験から言える。

『世紀の相場師 ジェシー・リバモア』 リチャード・スイッテン

世紀の相場師 ジェシー・リバモア『世紀の相場師 ジェシー・リバモア』リチャード・スイッテン著 藤本直訳(角川書店)、読了。

『愛と幻想の市場』はリバモアの人生の半ばまでしか描かれていないが、こちらは誕生から死まで書かれている。ただ、むこうが文学の域にはいる良書なのにくらべて、こちらはただのレポートでしかない。むこうを補うために読む本だ。

 わたしの場合、株を買うのに株価が高すぎるというケースはないし、空売りから入るのに株価が低すぎるということも決してない。 (…) ( 283 頁)

よく引用されるリバモアの上の言葉だ。世間では高値追いの買いや安値追いの売りを肯定するもののようにとらえられている場合が多い。しかし、前後に下のような言葉があるのだ。

「『ピボタル・ポイント』」には今ひとつ、『コンティニュエーション・ピボタル・ポイント』がある。これは株価の動きの生理みたいなものだが、一定方向のトレンドを保ちながら、相場が一時的に反発したときのことだ。 (…)
 わたしの場合、株を買うのに株価が高すぎるというケースはないし、空売りから入るのに株価が低すぎるということも決してない。このコンティニュエーション・ピボタル・ポイントの到来を待てばよい (…)
( 282 頁)

つまりは、押し待ち・戻り待ちとなるわけで、これなら一般的な相場常識と同じになり、納得がいく。

(…) 見込み違いから株価が逃げていくのを追いかけるというパターンは愚かというしかない。 (…) ( 283 頁)

跳びつき買いや追っかけ売りの肯定を、あのリバモアがするはずがないのだ。

ウィザードブックシリーズ 20 オズの実践トレード日誌 全米ナンバー 1 トレーダーの記録公開』 トニー・オズ

ウィザードブックシリーズ 20 オズの実践トレード日誌 全米ナンバー 1 トレーダーの記録公開ウィザードブックシリーズ 20 オズの実践トレード日誌 全米ナンバー 1 トレーダーの記録公開トニー・オズ著 林芳夫訳(パンローリング)、読了。

有名トレーダーであるトニー・オズが 4 週にわたって自らのすべての取引きを記録した本である。とはいっても、たんに取引き履歴が記されているだけではなく、ポジションを取る理由や手仕舞う理由まで書いてある。

とうぜん、とても参考になるのだが、とくに参考になるのは精神面のマネジメントに関してである。ここに記録された 4 週間はナスダック指数が 30% 以上も下落したというかなりの下げ相場であり、そこで買いのみというルールでトレードしていたのだから、有名トレーダーといえども損失を出すトレードがいくつかあり損失に終わる日も何日かある。そんな状況で、乱れた精神を落ち着かせ、自らのルールを守り、トレードを続ける著者の姿勢こそトレーダーに必要なものだ。

『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男』 マイケル・ルイス

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男『マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男マイケル・ルイス 著 中山宥 訳(ランダムハウス講談社)、読了。

あんまりしょっちゅう誘い球に引っかかるので、またやられると自分自身も予期していたにちがいない。だから、おそるおそるバットを振る。怖がっているのがばれないように、早打ちでごまかす。( 78 頁)

主人公ビリー・ビーンの現役時代の姿だ。こういうトレードをくりかえしているトレーダーも多いのではないだろうか。読み物としておもしろい上に、トレーダーにとっても意義ある本だった。

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の黄金律』 カーティス・フェイス

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の黄金律伝説のトレーダー集団 タートル流投資の黄金律』カーティス・フェイス 著 飯尾博信 + 常盤洋二 監修 楡井浩一 訳(徳間書店)、読了。

今作はトレーダーにではなく起業家に向けて書かれている。そのことが理由ではないのだが、トレーダーにとってあまり有用ではない。たぶん、起業家にとってもあまり有用ではないだろう。トレーダー向けに書かれた本で起業家にとっても有用な本はあるだろうし、起業家向けに書かれた本でトレーダーにとって有用な本もあるだろうが、この本はそうなっていない。トレーダーとしてではない観点から書かれたところは凡庸だ。

予測しない

“何らかの基準を持って” 毎日何時間もチャートと向き合っていれば、どんなに相場センスのない人間でも、あるていどはチャートを読めるようになる。といっても、先行きを当てることはトレードにとって重要ではない。むしろ、変にバイアスがかかって、大負けの原因になったりする。

チャートを見るときに大切なのは、現在の状況を知ることだ。今は買いが有利なのか売りが有利なのか。それとも横よこで見送りが正解なのか。そしてそれはどの時間軸でそうなのか。そういったことを読みとって、それに従って行動することが重要だ。予測よりも観測。利益を出せない人は上か下かを当てようとしすぎて、基準が教えてくれることを無視してしまう。これは自分がそうだったからよくわかる。

上がりそうだから買うのではなく、買うべき状況だから買う。こんなふうに変われれば、利益を出せるようになる。

『ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる』 マイケル・ルイス

ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる『ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくるマイケル・ルイス 著 東江一紀 訳(文藝春秋)、読了。

アイスランド・ギリシャ・アイルランドというバブルがふくらみはじけた国々をおとずれ、街の様子を味わい、政府や金融界の要人にインタビューした地獄巡りのような本。静かで非現実的で混沌と笑いに満ちている。異様にリアルだ。

サブプライム危機で大儲けしたアメリカ人のヘッジファンド・マネージャーは、「ボタンを押すと車の後方の路面に巨大な鋲がまかれるように」改造したハマーに乗り、武器庫が付属する要塞化された施設を所有し、そこで軍用ライフルでビーバーを撃って回っている。ギリシャの信用バブルを象徴するのは、ギリシャ正教の聖地アトス山の修道院の神父だ。海路でしか赴けない半島にあるその修道院は、 1980 年代後半には荒れ放題だったというのに、 20 年にも満たない期間で総資産 10 億ドルを超えると推定されるような巨大な資産を作り上げた。アメリカ内部の崩壊、地方自治体の財政破綻について書かれた最終章に登場するのは、財政的にもっとも危険な州であるカリフォルニア州の元知事シュワルツェネガー。だれもかれもが非現実ばなれしている。

歴史書としても文学作品としても文句なしの名著。