科学で勝負の先を読む 投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイド』 ウィリアム・パウンドストーン

科学で勝負の先を読む 投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイド『科学で勝負の先を読む 投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイドウィリアム・パウンドストーン 著 松浦俊輔 訳(青土社)、読了。

“randamness” についての本。人間はランダム性を認識することが本当に苦手だしランダムにふるまうこともそれに劣らず苦手だということをあらためて教えてくれる。そして、それを知っておくと、いつかどこかですこし有利にふるまえるかもしれない。

  (…) 同じものが 5 回続くほどランダムに見えない組み合わせはない。
 これが「ランダム」と「ランダムに見える」の違いを提起する。 HHHHH (と TTTTT )の出やすさは偏りのない硬貨を 5 回はじいたときに出てくる他のどの並びとも変わらない。「 5 回連続同じ」のほうがランダムではないとは言えない――ただ確かにランダムには見えない。( 46 頁)

『シグナル & ノイズ ――天才データアナリストの「予測学」』 ネイト・シルバー

シグナル & ノイズ ――天才データアナリストの「予測学」『シグナル & ノイズ ――天才データアナリストの「予測学」ネイト・シルバー 著 川添節子 訳(日経 BP 社)、読了。

ペースボール・プロスペクタス社の予測モデル「 PECOTA 」の開発者であり現在は政治予測サイト FiveThirtyEight の主宰者である著者が、野球・天気予報・地震・経済・ギャンブル等のさまざまな分野での予測の現状を取材しつつ、予測というものに対する自らの考えを述べた本だ。私が予測においてなおざりにしがちな点について、この本からいくつかの示唆を得ることができた。

 私自身は、多数が一致した意見――イントレードのような市場がどうなっているか――には注意している。それに執着することはないが、コンセンサスから離れれば離れるほど、「みんなが間違っていて自分は正しい」と思うにいたった根拠が強固なものでなくてはいけない。 (…) ( 406 頁)

人気薄を買うときに雑になってはいけないと反省している。

  (…) ときには自分だけが市場に勝つこともあるが、いつも期待してはいけない。それは自信過剰のサインである。 (…) ( 406 頁)

この本でのベイズの定理の紹介を読んで、私はそれを自分の主観的な確率の見積もりどうしの関係における偏りを知る道具として使えないかというような夢想をしてしまった。勉強してみよう。

ところで、本書は各分野につき 1 章ずつ使ってまんべんなく紹介しているのだがそのまんべんなさが問題で、金太郎飴的に平板な印象を受けて中盤はやや読みだれしてしまった。できれば次は彼自身が行う予測について語ってほしい。 (2015-06-13-19:45 追記 )

『フラッシュ・ボーイズ 10 億分の 1 秒の男たち』 マイケル・ルイス

フラッシュ・ボーイズ  10 億分の 1 秒の男たち『フラッシュ・ボーイズ 10 億分の 1 秒の男たちマイケル・ルイス 著 渡会圭子・東江一紀 訳(文藝春秋)、読了。

マイケル・ルイスらしく、よく取材された良作だった。超高速取り引きやダークプールについて描かれていて、その面では興味ぶかく読めた。ただ、そういう取り引きがアンフェアだというルイスの主張には、あまり共感できなかった。トレードで食ってる身としては、市場でのできごとがフェアかフェアじゃないかなんて考えている心の余裕はない。それでも、そういう問題の解決策のひとつとしての IEX には商業的に成功してほしいとは考えている。

「 (…) たしかに彼らが規制の範囲内でやってきたことは見事だった。超高速取引業者は思っていたような悪党じゃない。システムのせいで堕落しているんです」( 283 頁)

『スタンフォードの自分を変える教室』 ケリー・マクゴニガル

スタンフォードの自分を変える教室『スタンフォードの自分を変える教室』ケリー・マクゴニガル 著 神崎朗子 訳(早川書房)、読了。

The Willpower Instinct という原題どおり、意志力についての本だ。

意志力は、トレーダーとしての成績に、最終的な影響をおよぼす。どんなにすぐれたシステムを使っていても、チャートリーディングにおいてどれだけ上達していても、意志力に問題を抱えていては成功はおぼつかない。

といっても、「意志の力」で欲求や欲望や衝動ををねじ伏せようとするような姿勢は、かえって逆効果だ。意志の力というのは、そんなに強いものではない。たとえば、この本のなかで紹介されている研究結果につぎのようなものがある。

2 つのおやつをすぐにもらうのと、 2 分待ってから 6 つのおやつをもらうのとではどちらがいいか選ばせることによって、人間とチンパンジーの自制心を比較するという実験だ。

 チンパンジーも人間も、待つ必要がなければ 2 つより 6 つもらうほうがいいに決まっていますが、待たなければならない場合には、チンパンジーと人間ではその選択に大きなちがいが表れました。チンパンジーはおやつをよけいにもらおうとして、なんと 72 パーセントが待ちました。いっぽう、ハーバード大学とマックス・プランク研究所の学生は、 19 パーセントしか待てなかったのです。( 234 頁)

あなたのも私のも、人間の自制心なんてこんなものだ。トレードになんてまったく向いていない。

そんな欠陥だらけの意志力しか持っていないからこそ、どんな場面で衝動に負けやすいのかを知り、あらかじめ対策をたてておかなければならない。そんな認識と対策のためのヒントをたくさん与えてくれる本だ。「欲求の波を乗り越える」というテクニックは、トレードでも役に立つだろう。

『成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか』 ポール・タフ

成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのか『成功する子 失敗する子 何が「その後の人生」を決めるのかポール・タフ 著 高山真由美 訳(英治出版)、読了。

貧困層の子供の学力向上に取り組む人たち――教育者や心理学者や小児科医や経済学者など――と、彼らの助けを受けつつ劣悪な環境で前向きに努力している貧困層の子供、彼らへの取材を通じて「成功」するための資質にたいして考察した本だ。

「知能」ではなく非認知的な要素――たとえば好奇心、自制心、社会性といったもの――こそが成功するために重要なのだという近年の主流意見と、著者も見解を同じくしている。たぶんそうなのだろうと私も考える。ではどうすればそういう能力を伸ばしていけるのか。神経科学や心理学の研究結果や先端的な教育施設の活動を紹介しながら、著者はその答えを探っていく。わが子を「成功」させるという観点からではなく、「貧困」層の教育向上という観点から著者は問題をみていて、さまざま点で私は啓発された。

ところで、トレーダーという自分自身の職業にかかわる面でも、ふだんの自分の考えの正しさをこの本で確認することができて、私は意を強くした。

  (…) なぜルールが機能するかについては神経生物学上の理由がある。ケスラーによれば、ルールをつくると前頭前皮質を味方につけることができる。つまり、本能に突き動かされて反射的に働く脳の部位に対抗できる。ルールは意志力とおなじものではない、とケスラーは指摘する。ルールはメタ認知を利用した意志力の代用品である。 (…) ルールはやがて欲求とおなじくらい反射的に働くようになる。( 151 頁)

「精神力で」とか「意志の力で」とか吐かしている阿呆たちは、勝てるトレーダーには永遠になれない。

私は小学生の息子の成績はほとんど気にしないが、息子が習慣を力にすることに関してはかなり気にしている。気にしているだけで、じっさいの教育は妻にまかせっぱなしなのだけれども。「親があっても子は育つ。」

ウィザードブックシリーズ 170 規律とトレンドフォロー売買法 ――上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法』 マイケル・ W ・コペル

ウィザードブックシリーズ 170  規律とトレンドフォロー売買法 ――上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法ウィザードブックシリーズ 170 規律とトレンドフォロー売買法 ――上げ相場でも下げ相場でも利益を出す方法マイケル・ W ・コペル 著 長尾慎太郎 監修 山口雅裕 訳(パンローリング)、読了。

 トレンドフォロワーのチャーリー・ライトは言う。「長い時間をかけて分かったことは、相場の動く理由も動く方向も本当はだれも理解していないということだ。あなたであれ、ほかのだれであれ、相場の動きが分かると思うのは幻想だ。 (…) 相場がいつ動くかは予測できないという最終結論に達したときに、トレーディングで成功し始めた。私の欲求不満は劇的に少なくなった。相場の予測も理解もできないからといって、何の問題もないと分かり、私の心は穏やかになった」( 377 頁)

上の言葉に、私は深く同意する。ところどころに素晴らしい言葉が出てくる本なのだが、やや散漫でかなり冗長なところを惜しく思った。

『スイッチ ! 「変われない」を変える方法』 チップ・ハース & ダン・ハース

スイッチ !  「変われない」を変える方法『スイッチ ! 「変われない」を変える方法チップ・ハース & ダン・ハース 著 千葉敏生 訳(早川書房)、読了。

(…) これと同じように、大事な約束に二〇分も遅れてハンドルの前に座れば、その人は乱暴なドライバーになるのだ。人間の問題に見えても、実は環境の問題であることが多いのだ。( 242 頁)

トレードで自分の欠点を改善しようとするとき、私は状況や環境の影響をおもく見る。何度も破ってしまっているルールを、決意だけで守ろうとしても無駄だからだ。決意で守れるようになるのならば、そもそも破りはしない。まずは工夫をすべきなのだ。

そういう工夫についてのガイド本だ。広く浅くといった内容なので、この分野に興味を持ちはじめた人むけかもしれない。

『ギリシア哲学者列伝(下)』 ディオゲネス・ラエルティオス

ギリシア哲学者列伝(下)『ギリシア哲学者列伝(下)』ディオゲネス・ラエルティオス 著 加来彰俊 訳(岩波文庫)、読了。

(…) さらにまた、どのような状況のもとでは人は心を乱さずにいることができないか、 <また同様に、どのような状況のもとではそれが可能であるか> ということについて無知な人たち、そのような人たちすべてを、われわれは軽蔑しなければならない。 (…)( 265 頁)

エピクロスのこの言葉は、トレード手法を身に付けるときの本質を突いている。のではあるが、まだ負けている人にはこういう言葉の意味はわからないだろう。

この巻も多士済済で楽しく読めた。二流以下の本としては上出来だ。

 「さらに、思慮ある人は、よく考えることもなしに行動して幸運であるよりも、よく考えて行動しながら不運である方が、まさっていると信じている。 (…)( 308 頁)

『習慣の力  The Power of Habit 』 チャールズ・デュヒッグ

習慣の力  The Power of Habit 『習慣の力  The Power of Habit 』チャールズ・デュヒッグ 著 渡会圭子 訳(講談社)、読了。

(…) 試合中、選手があまりにも多くの決断をくだすのをやめさせたい。彼らが反射的に、習慣的に反応できるようにしたい。 (…) ( 99 頁)

NFL の有名コーチであるトニー・ダンジーのこの言葉は、私がトレードで目指している姿にとても近い。いつも言っているように、トレード中に複雑な判断をしなければならないようではどうしようもない。そんなことでは一貫性なんて期待できない。

たとえば、ダンジーが指導するまで各選手は相手チームの動きを全体的で複雑なものとして予想していた。ラインバッカーの場合だと、ガードはフォーメーションからはずれるだろうか ?  ランニングバックはこれから走るつもりなのか、それともパスするかといったようにだ。これではもたついてしまうことがあるダンジーの目的はブルックスの頭をこの手の一切の分析から解放することだった。全体を同時に考えるのではなく、順番に個々に判断していくのだ。

 これは比較的ささやかな変更だ。――ブルックスの目は同じきっかけに向けられるが、 1 度に複数の場所を見るのではなく、見る順番を決めて、それぞれのカギを目にした瞬間にどの選択肢を即座にとるべきかを教えた。このシステムが優れているのは、意思決定を不要にしたところだ。おかげでブルックスは今までより早く動けるようになった。すべては選択というより反応であり、それがのちには習慣となるからだ。( 124 頁)

習慣になってしまうと、それを実行するのは容易になる。意志力を必要としなくなるからだ。

 意志力が習慣になる過程はこうだ。ある行動を事前に決め、転換点が来たらそのルーチンに従う。( 206 頁)

意志の力でルールを守るのではなく、ルールを守ることが習慣になっている。そんなふうに生活とトレードを組み立てるためのヒントをこの本からいくつかもらった。

『確率論 (ケインズ全集第 8 巻)

確率論 (ケインズ全集第 8 巻)『確率論 (ケインズ全集第 8 巻)佐藤隆三 訳(東洋経済新報社)、読了。

(…) 個々の事例に付随する状況についてなんらの分析も行わないで, ある与えられた事象が観測された 1000 個の事例においていつも生起したという事実のみから, それは未来の事例においてもつねに生起することは確からしいと推論することは, 類比を少しも考慮に入れていないので, 弱い帰納的推論である. ( 465 頁)

確率を根本から問うた本だ。それを計量可能なものに限定せず、論理学的に徹底的に形式化することからはじめている。ケインズの最終的な目標は実践的なところにあったと思うのだが、そのためにこそこの本では形式化を徹底してやる必要があったのだろう。

数学と論理学の素養が皆無である私には、頭から煙が出るんじゃないかと思うほどに難解な本だった。それでも、ずっと興奮しながら読みすすんだし、確率について数えきれないほどの示唆をあたえてくれた。どこを開いても考えるヒントに満ちている。今回はノートもろくにとらずに通読しただけなので、何年かのうちに精読するつもりだ。

ただ、そのためには基礎学力をもっとつけないと話にならない。数学は、息子の成長にあわせて、算数からいっしょにやっていくとするか。

そして、フレーゲとラッセル。そこからまたウィトゲンシュタインへ。

(…) 推論はすでにもっている推定の根拠を強化することしかできない. それは予想を生み出すことはできない. ( 485 頁)

インディケーターのパラメータいじりがなぜダメなのか、よくわかる言葉だ。

『まぐれ――投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか』 ナシーム・ニコラス・タレブ

まぐれ――投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか『まぐれ――投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのかナシーム・ニコラス・タレブ 著 望月衛 訳(ダイヤモンド社)、読了。

 話していて一番イライラするのは、どう行動すべきかを説教する連中だ。どう行動すべきかなんてみんな知っている。問題なのはどうやって実行するかで、何をすべきかではない。(…)( 281 頁)

本書で著者は、確率や統計や不確実性について間違った考えを持っているバカを徹底的に罵っている。その本書の終わりのほうに出てくる文章だ。

確率論を学んでも、確率論を受け入れた生き方ができるとは限らない。不確実性についての知識をいくら積んでも、人生において不確実性を受け入れられるようになるとは限らない。

そもそも、人間はそんなものを受け入れられるようにはできていないのだから。しかし、トレーダーとして生きていくためには、トレードという場所ではそれらを受け入れることが絶対条件だ。そしてやっぱり、トレードで不確実性を受け入れるためには、人生でそれを受け入れる努力をし続けるしかない。

『アナタはなぜチェックリストを使わないのか ? 重大な局面で “正しい決断” をする方法』 アトゥール・ガワンデ

『アナタはなぜチェックリストを使わないのか ?  重大な局面で 『アナタはなぜチェックリストを使わないのか ? 重大な局面で “正しい決断” をする方法アトゥール・ガワンデ 著 吉田竜 訳(晋遊舎)、読了。

手術の安全性を高めるための WHO のプロジェクトで主導的な役割を務めた著者が、ミスを減らすためにチェックリストがいかに役に立つかを解説してくれている。

高度で専門的な教育を受け、長い研修期間を過ごし、そのうえでじゅうぶんな実務経験を積んだ医者でさえもミスをおかすことはあると著者は言う。そしてその発生確率は、意外なほどに高い。どうすればそれを減らせるのか。著者が参考にしたのは、医療業界と同じように高度に専門化された業務を行う建築業や航空業界などだった。それらの現場でチェックリストが有効に使われているのを著者は発見する。

 誤解されがちだが、チェックリストはマニュアルではない。高層ビルの建設用であれ、飛行機のトラブル解決用であれ、全ての手順を詳細に説明するものではない。チェックリストは、熟練者を助けるためのシンプルで使いやすい道具なのだ。素早く使えて、実用的で、用途を絞ってあるという特性こそが肝要だ。( 149 頁)

きちんと作成されたチェックリストなら、トレードでもきっと役に立つだろう。私は自分で使うためのチェックリストを練り上げているところだ。

(…) 少し目を凝らせば、素晴らしい能力とやる気を持った者でさえも、同じミスを何度も繰り返していることに気づくはずだ。ミスは起き続けている。今までのやり方を変えていかなくてはならない。
 チェックリストを試してみて欲しい。( 213 頁)

『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 下』 ダニエル・カーネマン

ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ?  下『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 下』ダニエル・カーネマン 著 村井章子 訳(早川書房)、読了。

「フィードバックと実践」、「フレーミング」、「メンタル・アカウンティング」、「損失回避」、そしてもちろん「プロスペクト理論」。トレードを改善するための材料が山盛りだった。

こういう本をきちんと読み込んで自分のトレードを見直していくことのほうが、そこらにある手法本を読みあさるより、トレード改善にはずっと役に立つ。

ただ、人間の自由意思についての書物としては、スピノザの『エチカ』のほうがはるかに新しくて刺激的だ。

ウィザードブックシリーズ 13 新マーケットの魔術師』 ジャック・ D ・シュワッガー

ウィザードブックシリーズ 13  新マーケットの魔術師ウィザードブックシリーズ 13 新マーケットの魔術師』ジャック・ D ・シュワッガー 著 清水昭男 訳(パンローリング)、読了。

同著者の前書『マーケットの魔術師』にくらべると登場するトレーダーたちが小粒になっている気がするが、それでも相場本としては貴重なおもしろさだ。

『マーケットの魔術師』 ジャック・ D ・シュワッガー

マーケットの魔術師『マーケットの魔術師』ジャック・ D ・シュワッガー著 日興證券開発運用部訳(日本経済新聞社)、読了。

同じシリーズの「株式編」はすでに読んであったが、あれよりもはるかにおもしろい。出てくるトレーダーのスケールも魅力も段違いだ。各トレーダーたちのトレードスタイルは多様だが、それでもしかし、彼らには共通の精神的態度があることが興味深かった。

ウィザードブックシリーズ 14 マーケットの魔術師 [株式編] 米トップ株式トレーダーが語る儲ける秘訣』 ジャック・ D ・シュワッガー

ウィザードブックシリーズ 14  マーケットの魔術師 [株式編]  米トップ株式トレーダーが語る儲ける秘訣ウィザードブックシリーズ 14 マーケットの魔術師 [株式編] 米トップ株式トレーダーが語る儲ける秘訣ジャック・ D ・シュワッガー 著 増沢浩一監 訳(パンローリング)、読了。

手法ではなく姿勢において参考になるところがいくつもあった。

ウィザードブックシリーズ 201 続マーケットの魔術師 ――トップヘッジファンドマネジャーが明かす成功の極意』 ジャック・ D ・シュワッガー

ウィザードブックシリーズ 201  続マーケットの魔術師 ――トップヘッジファンドマネジャーが明かす成功の極意ウィザードブックシリーズ 201 続マーケットの魔術師 ――トップヘッジファンドマネジャーが明かす成功の極意ジャック・ D ・シュワッガー 著 長尾慎太郎 監修 山口雅裕 訳(パンローリング)、読了。

多くの人が言うように、この『マーケットの魔術師』シリーズは『欲望と幻想の市場』などと並ぶ相場本の最高峰のひとつだろう。なかでも、第一弾の『マーケットの魔術師』は私の大好きな本で、今でも原書版でたまに読み返す。エド・スィコータ編は本当に素晴らしい。

そんな超有名シリーズの 10 年ぶりの新作なのだが、ヘッジファンド・マネージャー編ということで、個人トレーダーにはまったく関係ないクオンツ的な話じゃないのかと疑いつつ読みはじめた。

ところが、そんな懸念は無用だった。登場するすべてのトレーダーの発言に、個人トレーダーにとって貴重な教えがたくさん含まれている。

シリーズの 2 冊目と 3 冊目は、 1 冊目にくらべると落ちると考えていたのだけれど、今回のこの本は 1 冊目に並ぶほどの面白さだ。この本も私は何度も読み返すだろう。

 繰り返し、僕は部下のトレーダーたちに一言アドバイスをします。うまくいくことを増やして、うまくいかないことは減らしなさい、と。 (…) ( 31 頁)

スティーブ・クラークのこの言葉は、トレードをよくするためのけっきょくは唯一の手段だ。聖杯は外にはない。

『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たちマイケル・ルイス

世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たちマイケル・ルイス 著 東江一紀 訳(文藝春秋)、読了。

リーマン・ブラザーズの倒産に象徴される 2007 年からの世界的恐慌。その原因はサブプライム・ローンの破綻だった。そのサブプライム・ローンの焦げ付きを予測し、崩壊に賭けた 3 組の男たちを主人公にしたノン・フィクションだ。

サブプライム住宅ローンがいかに詐欺的なものであったのかが、全編を通して語られる。著者によれば、それは金融業界が下位中流層や貧困層を食い物にするためのものだったのだ。それに対する憤りが、この本の底に流れている。といっても、筆致はどこまでも冷静なのだが。

マイケル・ルイスは本当に良い作家だ。

現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ? ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」』 矢口新

現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ?  ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」現代の錬金術師シリーズ なぜ株価は値上がるのか ? ――相場のプロが教える「利食いと損切りの極意」矢口新(パンローリング)、読了。

『生き残りのディーリング』を初心者向けにして、ファンダメンタル面の解説を付け加えたといった内容の本だ。『生き残り…』を読んでいない初心者にはいいかもしれない。

『競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法』 ジェフリー・マー

競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法『競争優位で勝つ統計学――わずかな差を大きな勝利に変える方法ジェフリー・マー 著 須川綾子 訳(河出書房新社)、読了。

プロのギャンブラーとしての経験と統計学の知識とから導きだされる貴重な教えを伝えてくれる。というような本だと期待して読んだが、ぶれっぶれの内容だった。どんな読者にどう読んで欲しいのか、まったく定まっていない凡庸な本だ。

仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで FX  プロの定石』川合美智子

仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで  FX  プロの定石仕掛けから、利乗せ、ナンピン、手仕舞まで FX  プロの定石』川合美智子(河出書房新社)、読了。

ごくごく当たり前のことが書いてある。個人的には参考になるところはほとんどなかったけれども、悪い本ではない。初心者は日足のこういうトレードを 1000 通貨でやれば、変なトレードをする癖をつけなくていいだろうと思う。

ウィザードブックシリーズ 200 FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門』 ボブ・ボルマン

ウィザードブックシリーズ 200   FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門ウィザードブックシリーズ 200 FX スキャルピング ――ティックチャートを駆使したプライスアクショントレード入門ボブ・ボルマン 著 長尾慎太郎 監修 井田京子 訳(パンローリング)、読了。

びっくりした。今まで読んだ FX 関係の本のなかで抜けて最高の本だ。この著者はまちがいなく「やっていて」「勝っている」。しかも、トレードに対する考え方が私に共通するものがあって、とてつもなく参考になった。

ティックチャートを使ったスキャルピングで、テクニカル指標は 20EMA を表示させるだけ。トレンドラインすら使わない、かなりシンプルなスタイルだ。私はトレンドラインとボリンジャーバンドを使うが、オシレーター蔑視で値動き重視という点では共通している。

エントリーパターンとしては、プルバックからのトレンド復帰狙いの仕掛けが 3 つとレンジブレイクでの仕掛けが 4 つ紹介されていて、これも逆張りをやらない私のエントリーパターンと共通している。それぞれのパターンで多くチャートを載せて、プライスアクションの読み取り方をかなり詳細に解説してくれている。これがめちゃくちゃに勉強になる。

敗者の投げ・踏みを利用しようという考え方だとか、抜け・割れの試しを重視するところだとか、参加者の心理面を考慮した上でのプライスアクションに対する考えも共通していて、とうぜん私よりレベルが高いので、感動すらしながら読み進んだ。読み終わってからひと月ほど経つが、私はこの本のおかげでエントリーの精度が上がって勝率が向上した。大切なのはプライスアクションに対する考え方なので、 5 分足でも 1 時間足でも、ちゃんと応用できる。

ただ、凝り固まって「著者と同じチャート環境にするには」とか「なんとか線が出たからなんとかセットアップの定義がうんたら」とか、表面的なことにこだわる頭の弱い人にはかえって害になるかもしれない。

よくこんな本を出版する気になったなと思う宝石のような本だ。

『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 上』 ダニエル・カーネマン

ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ?  上『ファスト & スロー あなたの意志はどのように決まるか ? 上』ダニエル・カーネマン 著 村井章子 訳(早川書房)、読了。

人間の直感がどれほどヒューリスティクス(近道の解決法)に頼っていて、その結果として人間の判断にどれほどのバイアス(系統的エラー)がかかっているかということを、豊富な研究例をあげて教えてくれる。詐欺師には必読の本だろう。

もちろん、どんな職業の人が読んでも、それぞれの人なりに有用なところがある本だと思う。利益を出しているトレーダーが読めば、さらにトレードを良くしていくヒントをいろいろと発見できるはずだ。負けているトレーダーにはちょっと早いかもしれない。

 専門家の判断が劣るもう一つの理由は、複雑な情報をとりまとめて判断しようとすると、人間は救いようもなく一貫性を欠くことである。 (…) ( 325 頁)

ウィザードブックシリーズ 162 FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶ』 ロブ・ブッカー

ウィザードブックシリーズ 162   FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶウィザードブックシリーズ 162 FX トレーダーの大冒険 ――トレーディングの心理と知識と正しい行動を学ぶロブ・ブッカー 著 ブラッドリー・フリード 監修 スペンサー倫亜 訳(パンローリング)、読了。

著者が善意を持って書いているのは分かる。だが、ただそれだけの本だ。

『なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史』 ダニエル・アクスト

なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史『なぜ意志の力はあてにならないのか 自己コントロールの文化史ダニエル・アクスト 著 吉田利子 訳( NTT 出版)、読了。

古代ギリシャから最先端の研究まで、副題どおり「自己コントロールの文化史」について紹介している。時代が進むにつれ自己コントロールにおける「責任」というものが疑問視されてくるのだが、著者がニヒリズムに陥らずに当人の責任にこだわっているのはいい。

(…) 大事なのは、自分で決定しているという信念を失うのはとても危険だし、実際的でもないということだ。 (…) ( 219 頁)

意志の力はエネルギーだ。使えば減る。鍛えれば総量は増えていくが、とにかくその時点での限界はある。だから節約して使っていかなくてはならない。トレードで勝てるようになった人は、次の引用の意味が腑に落ちるにちがいない。

(…) アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは言う。「考えなくても遂行できる操作をどんどん広げることによって文明は進歩してきた。思考という操作は、騎兵隊の戦闘のようなものだ。騎兵は数が厳しく制限されているし、元気な馬を必要とするから、決定的な瞬間にだけ出動しなくてはいけない」。( 358 頁)

『 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~』 アンディ

 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~『 17 時からはじめる東京時間半値トレード ~勝率 50% の分岐点こそが相場の原点~アンディ(パンローリング)、読了せず。

あまりにバカバカしくて、途中からは流し読みになってしまった。親しい人間が読もうとしていたら、絶対にとめる。

勝率は 50% でいいと著者はいうのだが、この 50% という確率を本当に受け入れているとは思えない。

 本書で何度も述べているように、半値トレードは勝率 50% の境界線を狙う手法です。ということは、噛み合わなければ、うまくいかない可能性も半分は残っているということです。そうならないために (…) ( 198 頁)

勝率 50% の手法で失敗トレードの可能性が半分なのは当たり前だ。それなのに、「そうならないために」とは何なのか。これではけっきょく、もっと高い勝率をもとめているということだ。根本的なところで矛盾している。そもそも、損益比に言及せずに勝率を語っても、トレードでは意味がないだろう。

『しまった ! 「失敗の心理」を科学する』 ジョゼフ・ T ・ハリナン

しまった !  「失敗の心理」を科学する『しまった ! 「失敗の心理」を科学する』ジョゼフ・ T ・ハリナン 著 栗原百代 訳(講談社)、読了。

見落とし、自信過剰、タスク飽和。人間が犯す「まちがい」のパターンと原因が、さまざまな分野の研究報告をまじえながら紹介されている。

この本を読むと、自分はまちがう生きものなのだということがよくわかる。トレード技術について必死に勉強してるのに収益に結びついていないトレーダーは読むべきだ。この本をヒントにできるようなら、トレードを変えられるかもしれない。

『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか』 ジョージ・エインズリー

誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか『誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのかジョージ・エインズリー 著 山形浩生 訳( NHK 出版)、読了。

なぜ人はダイエットという自分にとっての長期的な利益より、目先の食べ物を選んでしまうのか。ダイエットを決意した時点では、ケーキよりダイエットに価値を感じていたはずだ。それなのになぜ「今」はケーキの価値がダイエットの価値を上回ってしまうのか。

こうした疑問に本書は「双曲割引」という概念で答えている。時間的に近いものほど価値が大きく感じられるのだ。こういう人間の性質を知っておくことは、トレーダーにとって意味がある。意志の力だけではどうにもならないことについて認識し、対処することができるのだから。

ウィザードブックシリーズ 159 ロジカルトレーダーオープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用』 マーク・ B ・フィッシャー

ウィザードブックシリーズ 159  ロジカルトレーダー オープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用ウィザードブックシリーズ 159 ロジカルトレーダーオープンレンジブレイクアウト戦略の基本と応用マーク・ B ・フィッシャー 著 長尾慎太郎 監修 井田京子 訳(パンローリング)、読了。

株価指数において、米国では日本でよりもトレンドを形成することが多い。これは日足でも日中足でもそうだ。とうぜん、トレンドが出やすい相場でのほうがブレイクアウト戦略は成功しやすいだろう。

そういう意味で、この本は読んですぐに日本市場に応用できる本だとは思わない。しかし、経験豊富なトレーダーからのアドバイスとしてなら読む価値のある本だ。

ウィザードブックシリーズ 30 魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構え』 バン・ K ・タープ

ウィザードブックシリーズ 30  魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構えウィザードブックシリーズ 30 魔術師たちの心理学 トレードで生計を立てる秘訣と心構えバン・ K ・タープ著 上野恵子 戸張義雄 萩原重夫訳(パンローリング)、読了。

『マーケットの魔術師』でのタープ博士へのインタビューを読んで、優秀なトレーダーをモデル化しそのモデルを模倣することによって平凡なトレーダーもパフォーマンスを高めることができるという理論に興味を持った。それでこの本を読んでみたのだが、私が求める心理・規律面についてはほとんど言及がなく、システム設計についての本だったので、かなり期待はずれだったことを覚えている。この邦題は詐欺的だ。